第8回:吸音材によって音はどう変わる? 実践編

前回気になった「吸音材種類で、音はどう変化するのか」という疑問に答えるため、今回は「Ishida model」を使って、吸音材でどう音色が変わるのかを徹底試聴しました! 使ったのは、下記の4種類の吸音材です。ミクロンウールはもともと、このスピーカーに使われている吸音材です。

 

1. ミクロンウール(超微細ガラス繊維)
2. ニードルフェルト(フェルト吸音材)
3. シンサレート(3M社の断熱繊維)
4. 生成り真綿(シルク吸音材)

 

試聴に使ったのは、8cmフルレンジスピーカーを採用した「Ishida model」。

これらの「吸音材」はコイズミ無線で買ってきたんですよ〜。ホントにそんなに種類あるのか!? とビクビクしながらお店の人に聞いたのですが、いろいろな種類のものが並んでいました! 素材も見た目も違うわけですから、当然音に影響してくるのは予想できますが……。もしかしたら、接続するアンプの種類によっても、吸音材との相性があるのかもしれませんね。

東京・秋葉原の電気街にたつコイズミ無線。自作オーディオ専門の老舗だ。

その可能性も考慮して、リファレンスのパワーアンプに加えて真空管プリメインアンプ「TU-8200でも試聴しました。

試聴に使ったエレキット「TU-8200」。コンデンサーと抵抗を交換済み。真空管も写真とは違うJJ「6L6GC」を使用。

実際の試聴の手順はどのようにしたのですか?

まず、標準の状態の「Ishida model」を聴いてから、底板を外して真ん中に入っている吸音材を取り出して、同量の吸音材を替わりに入れて試聴しています。
その後で吸音材を変えて試聴しました。真空管アンプトランジスタアンプの順番で聴いています。試聴したのはすべてハイレゾ音源で、Yuji Ohno & Lupintic Five with Friends「BUONO!! BUONO!!/THEME FROM LUPIN III 2015〜ITALIAN BLUE ver」(48kHz/24bit)、森恵「Re:Make1、Grace of the Guitar、COVERS Grace of The Guitar+/時には昔の話を」(48kHz/24bit)、手嶌葵「I Love Cinemas -Premium Edition-/Calling You」(96kHz/24bit)です。音源はMac miniに保存してUSB/DACに接続しています。

 

「Ishida model」は底板がネジ止めされており、カンタンに内部にアクセスできる。

 

取り出した吸音材と同量になるように、試聴用の吸音材をカット。

私はオリジナルの吸音材でしか聴いたことがありませんが、もう、これで大満足な音でした。

それでは真空管アンプを使って、もともと入っているミクロンウールの音を聴きます。低域の量感があって、高域はクリアで透明感があります。ボーカルは生々しく、さすがフルレンジと思わせる音像定位の良さが光ります。

今回紹介するのはこちら! ミクロンウール! 見てください、この柔らかさ。この手触り。毛布みたいでしょ、奥さん、いますぐお電話ですよ!

なんですか、その某通販のCMみたいな言い回し。しかも、どこに電話するんですか!? でも、この素材は吸音材の定番で、スピーカー以外にも室内防音用など幅広い用途に適しているので、なじみ深い素材だと思います。

 

スピーカーは、デスクトップに置き台を使ってセットした。

次は……ニードルフェルト? うわっ、なんですか、この素材。硬いし、見た目もあんまりキレイじゃないし。

言いたい放題ですね。これは見ての通り、いろいろな素材を寄せ集めたもので、自作スピーカーをする人にはおなじみですよ。カーペット用の下地材なんかにも使用されています。見たことないですか?

実は、あります。自作しない人でも、これは知ってる人は多そうですね。

ニードルフェルトに交換してみると、先ほどより穏やかな音で音量が下がったように感じました。音色はウォームで、ボーカルはなめらかで好印象です。音像定位はミクロンウールのほうが良かったですね。

ハイコスパでチクチクしないため、扱いやすい吸音材。

では、どんどん行ってみましょう。次は……シンサレート? 知らない。見たことない。聞いたことない。

これはハイテク素材なんですよ。ウインドブレーカーなどにも使われる素材で薄くても効果抜群なので、ミクロンウールと同量を入れると吸音効果は増えるはずです。ニードルフェルトと比較して、元気のいい音で、音の輪郭がハッキリしました。高域は明るく、低域は量感が抑えられてタイトに聞こえます。解像度が上がって、ギターの指板を指が滑るキュッという音まで再生されました。

 

薄くても効果の高いハイテク素材、チクチクしない。

シンサレート……。ふんっ、やるな、憶えておこう。

なんで急に上から目線なんですか!

最後は真綿ですね。

高級品なので、他の吸音材に比べて量が若干少なめになりましたが、クセのない音です。低域は量感があり、高域は輝くような明るさがあります。ヌケのいい音でメリハリも出ました。

 

カイコの繭をほぐして作ったという、シルクの吸音材。

やはり素材の違いが音に出ましたね! こうなると吸音材による音の変化も気になります。

それではよりシビアに音の違いをチェックするため、真空管アンプから、パッシブアッテネータ(ボリューム)+パワーアンプの組み合わせ変更して試聴を続けましょう。まず、吸音材の量を減らしてみましょう。

 

エンクロージュアの真ん中に入っていたミクロンウールを抜きました。音量が少し大きくなりますが、音像定位が少し甘くなって、音が若干、混濁します。演奏全体のノリはいい感じで、高域のヌケは良くなります。ボーカルの音像はやや大きくなります。伴奏のギターの音が細くなり、ボーカルが目立ってきました。

 

ニードルフェルトの量を半分にしてみます。これはいいですね。先ほどよりも音像定位が向上して、低域の量感も増えました。細かい音は吸音材多めのほうが出ていました。

 

シンサレートの量を2/3にしました。輪郭のクッキリした音になって、低域はややタイトに、高域はおとなしい。ボーカルの音像定位は今までで1番いいですね。解像度が高く、粒立ちのいい音になりました。

 

真綿は最初から量が少ないので、そのままの状態でアンプだけ交換しました。ウッドベースの鳴りが本物っぽく、サックスの音色もいい。高域はハイスピードでエッジが効いています。ボーカルはクリアで輪郭がハッキリ、音色と音場感は今までベストですね。

それぞれの吸音材によって適量が違うみたいですね。吸音材種類では、どちらの影響が大きいのでしょうか?

種類よりも量の影響が大きいですね。どの吸音材も適量にすると音質改善効果が発揮され、種類で比較してダメな吸音材というのはありませんでした。今回のシステムでは、真空管アンプにはニードルフェルトシンサレートトランジスタアンプには真綿シンサレートが良かったです。

高価な吸音材がいいとは限らないのかー! ちょっと意外でした。適量は試聴しながら決めるのがいいのでしょうか?

そうですね、私ならギュウギュウに詰めてから少しずつ減らしていって適量を決めます。吸音材は量より質ではなく、質より量が大切なことを実感しました。昔は吸音材と言えばグラスウールしかなくて、軍手で触ってもチクチクして、風呂で擦るとさらに取れなくなるという罠! という訳で、グラスウールだけはオススメできません。

グラスウール……。ふふっ、触るとチクっと痛むなんて。まるでバラか私のようじゃないか!

あの……オススメできないって言ってるんですけど?

 

 

 

 

 

 


第7回:吸音材によって音が変わる?[前編]

前回はバックロードホーンを取り上げたので、今回はバスレフそれとも密閉式についての話題かな?

バスレフ方式は「オントモ・ヴィレッジ」でも扱っているので、ちょっとだけ知ってますよ! バスレフは「bass reflex」のことですね! あれ、もしかして「一眼レフ」の“レフ”と「バスレフ」の“レフ”は同じ意味ですか?

正解! 一眼レフは英語で「Single-lens reflex camera」と言いますが、「reflex」は「反射」という意味がありますよね。あとで解説しますが、バスレフは音の「反射」が関係しており、カメラは光の「反射」が関係しているわけです。前回は「?」がたくさん付いていましたが、今回は冴えてますね。よく“レフ”という言葉に気が付きました!

やったー! 褒められた〜! もうひとつ気付いちゃいましたよ、「トカレフ」の“レフ”も実は同じ……

全然違いますよ! すぐ調子に乗るんだから!!

むむむー! 怒られた〜! ところで、聴きたかったのがバスレフ吸音材のことなんです。「オントモ・ヴィレッジ」で販売しているバックロードホーン・キットの内容を見ると、吸音材が極端に少ないんですよね。バスレフ型吸音材が大体2〜3面ぶんが入っているのですが……もしやケチっているとか!? この差って何なんでしょうか?

8cmバックロードホーン・キットは、吸音材が1本1枚だけ付属。

吸音材の量はスピーカーの方式によって異なります。例えば、私が使っているApogee「Duetta Signatureプレーナー型なので、吸音材の量はゼロです。後ろからも音が出るので、吸音する必要がありません。

左から右にいくほど吸音材の量が多くなっていく。

 

バックロードホーンの吸音材は、多くても写真の5箇所ぐらい。小さなモデルでは1箇所のことも。

プレーナー型は、そもそも吸音材を入れる箱がないですね。後ろから出る音も聴くことになるんですか? 特殊ですね。普通のスピーカーなら、音は前からだけですよね。

第2回でも説明しましたが、前から出る音は正相、後ろから出る音は、それと真逆の逆相なので、混じり合うと音が消えてしまいます。Apogeeは背面から出る音の処理が重要で、最低でも壁から1m以上離す必要があります。では、ここで問題です。普通のスピーカーの場合、後ろから出た音はどこへ行くと思いますか?

出ていく場所がないわけですから、それはきっとエンクロージュアの中に閉じ込められますよね? そういえば、バスレフ型バックロードホーンは、その一部を利用して低音を増強すると聞いたような気がします。

正解です! 後ろから出た音は、素早く吸音する必要があります。そのため、エンクロージュアの中には吸音材が詰められています。

でも、吸音ってその名の通り「音を吸う」ことでしょ? 逆に低音が出なくなりませんか? 「オントモ・ヴィレッジ」や「Stereo」編MOOKの付録のバックロードホーン・キットは、少量の吸音材音道に薄く貼るだけですし。ほら。

もう一度、見せます。

バックロードホーンは、スピーカーの後ろに折りたたんだホーン(音道)が付いている方式です。これがラッパの役割を果たすので、吸音材を貼ると、音が吸われて低音が出なくなってしまいます。スピーカーの能率も下がるので、吸音材は必要最低限にするのがセオリーです。

なるほど〜。後ろの音は、低音の量感を出すために、吸わずに伸ばすのですね。ということは、密閉式吸音材がギュギュウに入っているのは、逃げ場のない音を吸わせるためなんですね!

そうです。なので、低音を出すための穴が空いているバスレフ型よりも、密閉型のほうが吸音材の量は多いです。

特に1950年代にAR(Acoustic Research)が、アコースティック・サスペンション方式を開発、小型スピーカーの低音の再生限界を伸ばしました。このときに、歪みを抑えるため吸音材をギュギュウに入れたのです。有名なモデルは「AR-3a」で、日本にも輸入されて大人気になりました。トランジスタアンプが普及したおかげで、低能率ユニットを大出力でドライブ可能になり、実現した方式のスピーカーなんです。

ははぁ……また方式の新しい名前が出てきましたね。ま、なにはともあれ、密閉式はたっぷり吸音材を入れるんですね! 自分の中で点と点が今つながりました。実は先日、バスレフ式の「Ishida model」の吸音材の量を増やしたら、音が良くなったんですよ! やっぱり吸音材の量や素材で音質が変わるんですね。不思議です。吸音材をめいっぱい詰め込んだら、なんだかラッシュ時の通勤電車みたいだなと思ったものですが……。

無垢のブラックウォールナットを前後のバッフルに採用して話題を呼んだオーディオ評論家・石田善之氏監修の「Ishida model」。

 

Ishida modelは底板がネジで外せるので、自分の好みで吸音材の調節ができる。

どうしても鉄道ネタを入れたいのですね……。私もそんなに厳密に比較試聴したことはないものの、一般的に吸音材の量を増やすとS/N感が向上して、付帯音が減る、音像定位が向上する、音の輪郭がハッキリするなどのメリットがあると言われています。

逆に量を減らすと、音が前に出る、鳴りっぷりがいい、音色が明るくなると言われています。

無理に混雑した電車に例えるなら、乗客が押し合わずにスムーズに乗り降りできるか、お互いぶつかり合いながら一気にドッと出てくるようなイメージなのでしょうか。また、吸音材の種類によっても当然音色に違いが出てくるかもしれませんね。

素材による音の違い! あるのですかね、気になりますね。天然素材がいいのか、ハイテク素材のほうがいいのか!?

従来は、吸音材の量を増やすと音が死ぬとか、勢いがなくなると言われてきましたが、現代のハイエンドスピーカーは余計な響きを嫌うために、エンクロージュア自体に剛性の高い素材を使い、バスレフでも吸音材をたっぷり入れる傾向があります。

昔のスピーカーは、ウッドキャビネットの響きを音づくりに活かしてたんですよね〜。それで銘木が使われたりしていましたが、今はMDFが主流ですから、響きより吸音重視なんですね。

それでは次回、4種類の異なる吸音材を使って、吸音材の質と量で音がどう変わるのかを実験してみたいと思います。

「Ishida model」の吸音材を取り替えて試聴する。

 

音を比較試聴するため、吸音材3種類を用意。

4種類も!? 音の違い、聴きとれるかな〜。楽しみです!

 

 

 

 

 

 


第6回:バックロードホーンは、なぜ市販スピーカーにないの?

そろそろ8月も終盤ですね。みなさんも今年の夏のスピーカー工作はもう完成されたでしょうか? ……あれ? たかゆきさん、なんだか今日は不機嫌そうですね。

ゴンさん、聞いてください! 世の中間違ってるよ!

なんだか今回はいつになく不穏ですね。どうしましたか!? 

お盆の休みの間に、大型量販店やオーディオ専門店をまわって、いろんなものを見てきたんです。

おおっ、そうだったんですね! どうでした?

売っているのはバスレフ密閉型ばかりで、バックロードホーンが全然扱われてない! これどうゆうことですか!? 市販スピーカーの世界において、官僚の忖度があったんじゃないかと思わざるを得ない、ゆゆしき事態です!

単に「忖度」って言いたかっただけでしょ!

バレましたか!
いや、でも「オンラインショップでもエンクロージュア・キットにバックロードホーンがたくさんあるのに、メーカー製に見かけないのはどうしてなんだろう?」というのはずっと疑問に思っていました。なんでですか?

バックロードホーン各種は、「工作キャンペーン」の対象商品として絶賛実施中です!

「いい質問ですね!」……とでも言うと思いました? それはメーカーの広報の人に聞いてください!

もう〜! そんな冷たいことをおっしゃらずに!

単純な話です。バスレフ型スピーカーが素晴らしいので、他の方式よりも断然進歩してしまい、現在も進歩を続けているからですよ。世の中のクルマがほとんど4サイクル・レシプロエンジンを採用しているのと同じです。

4サイクル・レシプロエンジン、らしいです

 

左から密閉式、バスレフ式、バックロードホーン。箱の方式によって、特に低音の鳴りが異なる。

????? すみません、電車で例えてくれないとピンときません……。

バックロードホーンは、例えれば、ロータリーエンジンですね。特殊な用途では抜群の性能を発揮しますが、汎用生に乏しく、メリットもあればデメリットもある感じです。今年のモーターショーでは、マツダがロータリーエンジン50周年を記念して「RX-9」を市場に投入するという噂もありますね!

わかったような、イマイチわからないような……。では、バックロードのメリットとデメリット教えて下さい。

バックロードホーンの一番のメリットは、小出力で大音量が出せることですね。大出力を取り出すのが難しかった真空管アンプの時代には、劇場用としても使われていました。

その頃は、バックロードの栄光の時代、とでもいうべき時代だったのでしょうか!?

もうひとつは、小型ユニットで量感ある低音が出せること。ハイスピードで解像度が高く、ダイナミックレンジが広いというメリットもあります。

小型ユニットで低音が出せるのはありがたいですね。小出力で鳴らせるなら、真空管アンプと組み合わせるのもいいかもしれませんね!

デメリットとしてはスピーカー背部に折りたたんだホーン音道として作るため構造が複雑になり、生産コストがアップすること。バックロード向きのユニットが必要になること。箱を大型化してユニットを大口径化しても、低音の再生限界があること。音道を長くすると、低音の遅れが感じられることです。

大型バックロードホーンの3DCADによる設計図。かなり複雑な構造であることがわかる。

確かに、キットの板数もバックロードホーンは多いですものね。作るのが大変な割にはメリットが少ないのでしょうか?

そうですね。トランジスタアンプの登場によって、容易に大出力が得られるようになりました。さらに、今ではクラスDアンプ(デジタルアンプ)の登場で、手のひらサイズのアンプで充分な駆動力が得られます。

それならバックロードよりも、バスレフマルチウェイでワイドレンジを目指したほうが、高性能が得られます。軽い振動板で能率の高いユニットも必要なくなり、重い振動板で歪まずにストロークの深い低能率ユニットを使えば、小口径でも重低音が出せます。

つまり、スピーカーは単体では鳴らないので、アンプとペアで考えなければいけない訳ですね。

そうです、あとは時代がどんな音を求めているのか。

昔は大音量で低音がドカーンと出ること。つまりダイナミックレンジと低域方向のワイドレンジでした。

それから楽器の音色やボーカルの音色がいかにリアルに再現されるか。

その後にアタック感、スピード感、ステレオ感、広がり感、奥行き感などの音場感が求められました。

なるほど、よりリアルに、そこにオーケストラがいるかのように厳密に再生することが追求されてきたのですね。

バックロードホーンは、進化の途中で時代のニーズと合わなくなり、メーカーから忘れ去られた存在になったのです。でも、その音には独自の魅力があり、今でも熱狂的なファンがいるため、エンクロージュアのキットでは不動の人気があります。

自作派向けに、フォステクスバックロードホーン専用ユニットを生産し続けています。

う〜ん、鉄道でムリヤリ例えてみるなら、寝台列車のようなものでしょうか? 座席夜行車を快適化するために、1961年の全国白紙ダイヤ大改正から多くの寝台車が投入されたわけですが、1970年代になってから新幹線や高速道路網、航空路線などに押されて、どんどん寝台列車が衰退、時代の表舞台から姿を消した……と思いきや、「ななつ星in九州」のように、鉄道の旅を楽しむために不死鳥のように蘇った寝台専用列車!

まあ、ノスタルジーだけでなく、バックロードホーンは限られた局面においては、バスレフより有効なこともあります。その設計と板取、加工、製作が難しいので、自作派においてはバックロードを作れば一人前、上級者の仲間入りというマイルストーンの役割もあります。

先ほどの大型バックロードホーンはBearHornのキット。板材が何枚必要かを検討中。斜線の板は補強用に使っている。

 

大型バックロードホーン1本分の板材を並べたところ。

 

音道が完成して側板を貼ろうとしている。吸音材はほとんど使っていない。

 

トールボーイタイプのバックロードホーンキット。内部は音道のみであることがよくわかる。

そんなにバックロードバスレフで音が違うのでしょうか?

それではここで、8cmメタルコーン・フルレンジ「M800OMF800Pが使えるバックロードホーン型エンクロージュア・キットの音を聴いてみましょう。


オンラインショップで販売中!

音源には「究極のオーディオチェックCD 2017〜ハイレゾバージョン データディスク〜」を使います。

オーディオ評論家の石田善之氏による録音。こちらも販売中です!

せっかくなので、出力3W+3Wの6V6Sを使った中華製真空管アンプで鳴らしてみましょう。スピーカーユニットは「M800」が付いています。

ゴンさんがebayで入手した真空管アンプ。

 

8cmのメタルコーンフルレンジユニット「M800」が付いたコンパクトなバックロードホーン。

バスレフよりも開口部が広いせいか、明るく開放的な音がしますね。バスレフ密閉式は箱の中に空気がこもっていて、それを押しのけてスピーカーが動くイメージですが、バックロードは後ろの空気がサッと押されて抵抗なく動いているようです。順路が決まっている美術館のように、ストレスなく進めるというような……。バスレフは人気のある絵の前に人が群がっちゃって、急いでいる人はその中を進んでいかなくちゃいけないみたいな?

それが明るくヌケが良く元気な音につながるのかもしれません。スパッと歯切れのいい音で、低域を欲張らずに、鳴りっぷりのいいスピーカーに仕上がっていますね。今度はユニットを「OMF800P」にしてみましょう。

同じく8cmフルレンジユニットは、フェイズプラグ付きのフォステクス付録シリーズの最新作。MOOKで好評発売中!

先ほどより、高域の繊細な感じが出てきました! これがイコライザーの効果なんでしょうか? 低域の感じは同じですが、中高域に変化がありました。

どちらもメタル振動板で口径も同じですが、「OMF800P」は「M800」の進化版ですから、さらに音がブラッシュアップされていますね。センターのイコライザーが高域特性を改善しているに違いありません。

では、ここで……ぜひゴンさんに聴いてほしくて用意した、とっておきのものがあるんですよ〜!

おっ、なんでしょうか!?

ジャーン! 炭山アキラさんが設計されて、そのエンクロージュア・キットをオントモ・ヴィレッジで発売予定の「コサギ」です! パイオニアの6cmユニットを搭載しています。

8月末から予約受付開始!

長岡鉄男先生スーパースワンの発展形でしょうか。なかなか凝った作りですね。製作するのが大変そうです。

板数が1本で34枚もあります。

先ほどのバックロードは8cm用としてもサイズが小さく、音道も短かったのですが、コサギは音道が長く、低域の量感、低域の再生限界ともに伸びています。先ほどより板厚も厚いので、箱鳴りも抑えられていますね。さらにユニットの周りの板の面積が狭く、ほぼ点音源化されているため、音場感も抜群にいいです。

先ほどの8cm対応エンクロージュアはコンパクト。

 

炭山アキラ氏設計の「コサギ」は音道が長い。

 

ここの部分が小さいと音場感がいい。

確かに6cmでこんなに低音が出るなんてバックロードマジックですね! メーカーは研究をやめたようですが、バックロードにもまだまだ可能性はあるんだ! 時代は巡る。いつかまた、バックロードが見直されるときが来ることを期待したいですね。

バスレフ型にはしっかりしたダクトの計算式がありますが、バックロードホーンの音道設計に関しては、完成された計算式が存在せず、まだまだ未知の部分があります。自作で市販品に勝てる可能性が高いジャンルですね。私も個人的にバックロードの音は好きですよ!

最近ゴンさんが作ったバックロードホーン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


第5回:工作に便利な工具を教えてください!

毎日暑いですね〜。そろそろ夏休みの子どもたちは自由研究に取り組まなくちゃ、あるいは、もう既に始めてるよ〜! という子も多いのではないでしょうか……って、もう講義が始まってますよ! 何を食べてるんですか!!  

あ、これですか? 「チップスター」です。おなかすいたので買ってきました……ゴンさんもいかがです?

あ、そりゃどうも。夏の「チップスター」には個人的に思い出がありましてね、実は小学校の自由研究に「チップスター」の円筒形容器エンクロージュアにした密閉型スピーカーを作ったんですよ。今でこそ地球に優しいオール紙製容器ですが、発売当時から1992年までは底部が金属製で強度があって、ここにターミナルを固定。ユニットはφ70mmが最適で、foを下げるためにコーキング剤を……

いきなり話題がマニアックですよ!

ちなみに「プリングス」ならφ75mmのユニットまで取り付けられますよ。

ゴンさんのマニア話、このポテチのように止まらないですねえ! さてさて、そんなわけで今回は、スピーカーユニットの相棒とも言うべき、スピーカー・キットの工作についてお伺いしたいと思います。

はい! 突然ですが、ここで問題です。スピーカー・キットを組み立てるのに欠かせないものは何だと思いますか?

 

 

 

 

 

 


第4回:夏休みにスピーカーを工作してみたい!……ですが、スピーカーのスペックもわかりません。

スピーカー・ユニットのスペックに入っている用語と数字について教えてください。ただし、文系人間で数字がとても苦手。数字が出てくると眠くなります。逃げ出したくなります。8:00ちょうどに大月駅(山梨県)を出る東京行きの「あずさ2号」で旅立ちたくなります。だから、なるべくお手柔らかにお願いします!

電車の号数や時刻なんかはすらすら出てくるのに……本当に数字が苦手なんですか? では、なるべくやさしく解説をしたいと思います。まずは形式出力音圧レベル(dB)入力インピーダンス(Ω)許容入力(W)周波数特性(Hz)。それから、f0Q0m0ですか? それはスピーカーを自作する人に必要な数字となりますので、がんばってついてきてくださいね。

ああ……。スピーカー・キットを選ぶときにスペックを見て固まった記憶のある、なんか見たことあるけど難しくてよくわからない言葉たちですね。でも、がんばってみます!

まず、簡単なところから、形式はダイナミック型とかドーム型などのユニットの方式が書いてあります。これは前回話しましたね。

次の出力音圧レベルは対数のdB(デシベル)で表記し、数字が大きいほど高能率、非力なアンプでも大音量を出せます。電力比では3dBで2倍、20dBで100倍の違いになります。

出力音圧レベルは、1ワット(W)の電力が与えられたときの、スピーカーから1m離れた地点の音圧(音の大きさ)

えっと……。つまり、スピーカーは能率は高いほどいいということでしょうか。dBはアンプのボリュームに書いてある数字ですね。デシベルって、少しの数字の違いで、そんなに電力に差があるんですね。

 

 

 

 

 

 


第3回:スピーカーは、どういう仕組みで音が出るの?

今回はスピーカーのしくみ編ですね。ろみーさんよりオーディオに詳しそうな、たかゆきさんが登場します。しかし、ジェネレーションギャップは埋まりそうにありません。  

ジェネレーションギャップだなんて〜、冗談はヨシコさん! 気持ちは若いつもりですが、昭和のギャグと電車が好きな たかゆき(自己紹介はこちら) です。よろしくお願いします! オーディオは「詳しい」なんて言ったら本当に詳しい人から怒られてしまうようなレベルですよー。でも今回はせっかくの機会なので、ゴンさんにキホンのキから勉強させてもらうつもりで色々聞かせてもらいますね。では早速。……スピーカーって、そもそもどうして音が出るんですか?

今回もいきなり本質を突いた質問ですね。音は空気の粗密波なので空気を押してやれば音になります。たとえば、手を叩くとか。

ソミツハ? 粗いところと密なところが波になると、音として聞こえるのですか?

はい。押したり引いたりすると空気が振動して音が伝わります。音波と言うように波のような性質もあり、この波の大きさが音量、波が1秒間にどれぐらいの間隔で来るかで音の高低が決まります。ゆったりした波は低音小刻みに来る波は高音になります。

 

楽器は空気を振動させることで音を出していますよね。スピーカーもこれと同じ仕組みと考えていいのでしょうか?

 

 

 

 


第2回:オーディオ用語がよくわかりません。

ろみー:前回、音場感って言葉が出てきたのですが、意味がよくわかりません。えーっと、この「Stereo」誌にも、音場感、音像、定位、音色、音質、ダイナミックレンジ、S/N感、ハイスピード……など登場しますが、どんな音を意味しているのでしょうか。

 

オーディオ機器の評価によく出てくる用語

ゴン川野音場とは、音楽が聴こえてくる空間のことです。まず、ボーカルとか楽器の音が、その場所に楽器があるかのように再生される様を音像と呼びます。

えっ。楽器の音は、スピーカー・ユニットから聴こえるんじゃないんですか?

 

スピーカーユニット。

オーディオの世界では、スピーカー・ユニットから音が聴こえないほうがいいとされています。理想は、2本のスピーカーの存在が消えて、眼前にオーケストラが出現。本物のオケの楽器の配置と距離感で音が出ることです。 

えー! そんなバーチャルな体験が自宅でできるのですか?

オーケストラが目の前で演奏しているかのように再現。

その理想を実現するために、マニアは没頭しているのですよ。次に、楽器の音像の位置を音像定位と言います。音像定位がいいとか悪いとか言うのは、再生されている楽器の大きさ、形状、前後左右の位置が正しいかどうかで判断しています。

ステレオだからセンターだけでなく、左右にも音が定位できるんですね。でも、奥行き方向とか高さ方向は無理っぽい気がしますけど……。

いえいえ、音場感を追求すると、左右の音の広がりだけでなく、前後、そして高さ方向まで再現できます。一般的に音場は、左右のスピーカーの間に生まれます。条件によってはスピーカーの外側まで音場が広がることがあり、これは広々とした音場になります。

そうすると、ウチみたいに部屋が狭い場合はどうなっちゃうのでしょう?

 

 

 

 


第1回:いい音って、どんな音?

JUGEMテーマ:オーディオ

 

今回から始まった「オーディオなぜなに事典」の回答者のゴン川野です。オーディオに興味を持ったのは小学生の頃、アナログレコードとカセットテープの時代でした。オーディオライターになってからCDプレーヤーの誕生に立ち会い、DAT、MD、SACD、そしてハイレゾと、オーディオの進化と共に歩んできました。思い起こせば、新宿西口地下広場でのフォーク......(以下40行略)

(自己紹介はこちら)

 

 

 

先生役のオーディオ&音楽ライターゴン川野さん。
ハイレゾレコパル」や「@DIME」のPCオーディオデジカメの連載(小学館)、
月刊「ステレオ」(音楽之友社)などで執筆を行なう。

 

ろみーです。私、この会社に入るまで(自己紹介はこちら)、オーディオのこととか、まったく考えたことがなくて、最近になってようやくコンポを揃えたんです。量販店に行っても、売り場のどこへ行けばいいかわからなくて、オーディオ、ステレオ、スピーカー、コンポという単語の違いすらわかりません。

それは大変でしたね。オーディオ(audio)とは「耳に聴こえる音」という意味ですが、それが転じて音楽再生するために関連する機器のことを指すようになりました。オーディオ機器、オーディオシステムを省略してオーディオと呼んでいます。ステレオ(stereo)も同じ意味で使われることが多いですね。

オーディオは、全部ステレオじゃないのですか? 雑誌の「ステレオ」はずいぶん直球な名前だな、と思っていました。

 

月刊「ステレオ」(音楽之友社)

1963年創刊の「ステレオ」誌

LPレコード以前に、SPレコードが音楽の記録再生に使われていましたが、これはすべてモノラル録音でした。LPレコードでようやくステレオ録音が実用的になり、差別化のためにステレオがキーワードになりました。昔は、タクシーに冷房車、映画館に総天然色、洗濯機に全自動と書いてあると、人目をひいたのです。今で言えば、ハイレゾステッカーみたいなものですね。

 

ハイレゾマーク

ハイレゾのマーク

昭和時代の話はよくわからないんですけど……モノラルに対するステレオだったのですね。ブランド品のロゴみたいなものですね。よくわからないデザインでも有名ブランドのロゴが付いていれば、みんなも納得みたいな!

 

 

 

 

 

 


メンバー紹介

「オーディオなぜなに事典」の登場メンバーをご紹介します。

 

 

先生:ゴン川野

 

 

新宿西口地下広場フォークゲリラのことはTVニュースでしか見ていなかったが、大阪万博、サンヨー館の人間洗濯機のビキニのお姉さんのことはよく覚えている。高度成長期、バブル崩壊を経て、今もなおオーディオにこだわり続けるメカ好きライター。SONY「スカイセンサー5500」でオーディオに目覚め、Apogee『Duetta Signature』というオールリボン型の平面スピーカーをこよなく愛する。ちなみにヘッドホンも平面駆動好き。最近、Sonoma「Model One」を導入した。夢は二重防音扉のリスニングルームを持つこと。

 

 

 

生徒:ろみー

 

 

そろそろとんこつラーメンがしんどいお年頃の九州娘。クラシック大好き!で生きてきたが、最近はなぜかアニソンに傾倒。りっぱなヲタクに育ちつつある。オーディオの世界はさっぱりだったが、最近は「俄然興味がわいてきた!」とかなんとかつぶやきながら、あくせく勉強している。夢はギリシャでオリーブ農園を持つこと。

 

 

 

生徒:たかゆき

 

 

オンラインショップ担当。もうすぐ40歳。夏が近づくとバリの民族音楽を聴きたくなる。いい音楽をできるだけいい音で聴くことは人生を豊かにするので、ひとりでも多くの人に音楽やオーディオの魅力を伝えてゆきたい!しかしながら、この世界は答えのない深い迷いの森のよう。及ばずながらそんな世界の水先案内人となるべく、目下勉強中。…なんて言いつつ、いつになったら一人前になるのやら。


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