第2回:オーディオ用語がよくわかりません。

ろみー:前回、音場感って言葉が出てきたのですが、意味がよくわかりません。えーっと、この「Stereo」誌にも、音場感、音像、定位、音色、音質、ダイナミックレンジ、S/N感、ハイスピード……など登場しますが、どんな音を意味しているのでしょうか。
   
   オーディオ機器の評価によく出てくる用語

ゴン川野音場とは、音楽が聴こえてくる空間のことです。まず、ボーカルとか楽器の音が、その場所に楽器があるかのように再生される様を音像と呼びます。

えっ。楽器の音は、スピーカー・ユニットから聴こえるんじゃないんですか?
   
   スピーカーユニット。

オーディオの世界では、スピーカー・ユニットから音が聴こえないほうがいいとされています。理想は、2本のスピーカーの存在が消えて、眼前にオーケストラが出現。本物のオケの楽器の配置と距離感で音が出ることです。 

えー! そんなバーチャルな体験が自宅でできるのですか?
   
   オーケストラが目の前で
   演奏しているかのように再現。

その理想を実現するために、マニアは没頭しているのですよ。次に、楽器の音像の位置を音像定位と言います。音像定位がいいとか悪いとか言うのは、再生されている楽器の大きさ、形状、前後左右の位置が正しいかどうかで判断しています。

ステレオだからセンターだけでなく、左右にも音が定位できるんですね。でも、奥行き方向とか高さ方向は無理っぽい気がしますけど……。

いえいえ、音場感を追求すると、左右の音の広がりだけでなく、前後、そして高さ方向まで再現できます。一般的に音場は、左右のスピーカーの間に生まれます。条件によってはスピーカーの外側まで音場が広がることがあり、これは広々とした音場になります。

そうすると、ウチみたいに部屋が狭い場合はどうなっちゃうのでしょう?

オーディオマニアが広いリスニングルームを作りたがるのは、壁や天井などの影響を避けるためと、広い音場を得るためです。これに対して、小さなデスクトップシステムは、すぐ目の前にミニチュアのオーケストラが出現すると表現されます。

   
   デスクトップの場合は、
   ミニチュアのオーケストラが出現!?
オーケストラが小さくなってしまうのですね。そう言えば、映画館ならぼわーんって音に包まれたり、後ろから音がして「ギャッ」てなったりしますね! それってサラウンドって言うのですよね。でも、あれはスピーカーが2本じゃなくて、たくさんあるからなのでは?

そうですね、音場感はAV再生においても重要視され、SFやアクション映画を見るときに、後ろから前に銃弾が飛んだり、宇宙船が移動したり、派手な爆発があったりした場合のリアリティを高めてくれます。これを実現するためにドルビーサラウンドという技術が生まれ、再生する信号の数も5.1chに増やして、映画館では観客を包み込むように複数のスピーカーを配置しています。 

   
   ドルビーサラウンドの音響再現技術を採用した
   機器やソフトについているマーク
じゃあ音楽のライヴではステージは前にあって、観客の背後には楽器がないので、2chで充分なのでは…?

そうとも言えませんよ。シンセサイザーのような電子楽器が生まれ、スタジオで音をリミックスできるようになってからは、2chでも好きな位置に音を配置できます。これを再現するために5.1chで録音するミュージシャンもいますが、2chでも位相情報がきちんと録音再生できれば、天井近くや後方から音が出たように聴こえます。これは情報量が増えたハイレゾ音源で再生できる可能性が一層高まりました。

イソウって何ですか? もしかしてヤハクィザシュニナですかっ?

   
   ※ろみー自筆。
   正しいイメージはこちら

羽田空港に出現した正六面体カドから現れた! ってそれはイホウ存在ですね…。位相とは、音の波形の位置を角度で表現したものです。まあ、カンタンに言えば、音の出るタイミングが合っているかどうかということです。

   
音は空気の粗密で、正相と逆相が繰り返され
波のように伝わる。
   
音波の周期の位置を表したものが位相。
オレンジの線は空気が圧縮され、青は膨張している。
正相と逆相の波がぶつかると
プラスマイナスゼロで音が消える。
これがノイズキャンセリングの原理。
あ〜、それをイソウ…位相というんですね!そしたら、オントモ・ヴィレッジのオンラインショップで一番人気のダブルバスレフスピーカーなら、スピーカー・ユニットが1個なので、位相はズレなさそうですね♪   

厳密に言えばそうとも言い切れませんが、一般的には、ユニットが1個しかないフルレンジスピーカーはもっとも位相のズレが少ないとされています。2way、3wayとユニットの数が増えれば位相のズレが問題になってきます。この話はまた次回に。

ほほぉ……なにやら奥深そうですね。ちなみに、私の好きなアニソンにも音場感はあるのでしょうか?

もちろん、アニソンにも音場はあります。むしろ劇伴(映画などの劇中音楽)の場合は5.1ch録音されているので、前後・左右・上下に音が飛び交うこともあります。これを2chのステレオスピーカーで再現することは、難しいですが、不可能ではありません。

音場感の再現って難しそうですね。もっとカンタンに再現できる要素と言えば、音色はどうですか? 音楽の辞書によると……う〜ん、基音と倍音による音の聴こえ方ということですか?

そうですね、音の三大要素に、音の高低、大小、そして音色があります。音の高低は周波数帯域で現され、広いときはワイドレンジと評価されます。音の大小はダイナミックレンジで、小さい音から大きい音までの差が大きいときは、ダイナミックレンジが広いと言います。音色は、音程が同じ音でも、楽器によって聴こえ方が違う様子を示しています。波形は似ていても、人間の耳には全く違った音に聴こえます。

   
   楽器によって音色は異なるが、
   スピーカー固有の音色もある
あ、話がわかりやすくなりました。周波数特性のグラフ、前回も出て来ましたよね。縦軸が音の大小でダイナミックレンジ。横軸が高低で周波数レンジですね。周波数特性のイメージ_s.jpg

それとは別の表現で、音色がホット、ウォーム、クールなど表現されることもあります。コンポに固有の音色があるよりニュートラルなほうがいいのですが、個性的な音色のスピーカーやアンプにも魅力があり、人はそこに惹きつけられてしまいます。これに対して、音質はいいか悪いかだけで、その基準は多くの場合、原音に忠実かどうかになります。

音色は個性で、音質だと音の善し悪しになっちゃうんですね。次のS/N感はちょっと数学的な感じの用語ですね……。

Sはシグナル、Nはノイズのことです。電気信号に含まれるノイズの比率をdB(対数)で表す数値で、高いほどノイズが少ない。聴感上は無音のときに静けさを感じ、ごく小さな音が良く聴こえる状態で、演奏時は付帯音がなく音がクリアに聴こえます。実際のS/Nは無信号時に測定されるため、音楽を聴いたときの感想としてはS/N感がいいと表現しています。スピーカー再生の場合は、部屋のS/N、つまり暗騒音レベルも関わってきます。

   
   右のスピーカーは左に比べて、
   音がクリアでS/N感がいいというイメージ。
えーと、部屋がうるさいとコンポのS/N感が良くても意味がないわけか〜。次はハイスピードですが、ロースピードもあるのですか?

ロースピードはありません! ハイスピードは比較的、最近使われるようになった言葉です。ハイスピードな音とは、立ち上がりが速く、立ち下がりも速い音です。立ち下がりという言葉が変なら、音の消え際と言ってもいいでしょう。つまり余分な響きや曖昧さがなく、実際の演奏と同じスピード感で、ハイハットを叩いたら、すばやく音が立ち上がって、スッと消えるということです。

実際の演奏より立ち上がりが速いわけではないんですね。う〜ん、オーディオ用語ってやっぱり難解!もっと簡単に書いてほしいです〜。
   
   実際の演奏が、もっとも音の立ち上がりが速い。

音の善し悪し、好き嫌いは感覚的なことなので、ニュアンスを伝えるために、ついつい長文になってしまいますね。オーディオ用語を使えば、短い言葉で音の状態を説明できます。文字数が限られている雑誌で多用される傾向があります。それには読み手がオーディオ用語を理解していることが前提なので、オーディオに興味がある人は、少しずつでもいいので覚えたほうが、文章への理解が深まります。逆に、興味のない人が読めば、専門用語が多くてマニアックな趣味と思われてしまいますね。

マニアックですよ! 本当に敷居が高くて、変なことを質問したらめっちゃ怒られそうな雰囲気です! だから、ゴン先生、また教えてください〜。

 

 

 

 

 

 


第1回:いい音って、どんな音?

JUGEMテーマ:オーディオ

 

今回から始まった「オーディオなぜなに事典」の回答者のゴン川野です。オーディオに興味を持ったのは小学生の頃、アナログレコードとカセットテープの時代でした。オーディオライターになってからCDプレーヤーの誕生に立ち会い、DAT、MD、SACD、そしてハイレゾと、オーディオの進化と共に歩んできました。思い起こせば、新宿西口地下広場でのフォーク......(以下40行略)

(自己紹介はこちら)

 

 

 

先生役のオーディオ&音楽ライターゴン川野さん。
ハイレゾレコパル」や「@DIME」のPCオーディオデジカメの連載(小学館)、
月刊「ステレオ」(音楽之友社)などで執筆を行なう。

 

ろみーです。私、この会社に入るまで(自己紹介はこちら)、オーディオのこととか、まったく考えたことがなくて、最近になってようやくコンポを揃えたんです。量販店に行っても、売り場のどこへ行けばいいかわからなくて、オーディオ、ステレオ、スピーカー、コンポという単語の違いすらわかりません。

それは大変でしたね。オーディオ(audio)とは「耳に聴こえる音」という意味ですが、それが転じて音楽再生するために関連する機器のことを指すようになりました。オーディオ機器、オーディオシステムを省略してオーディオと呼んでいます。ステレオ(stereo)も同じ意味で使われることが多いですね。

オーディオは、全部ステレオじゃないのですか? 雑誌の「ステレオ」はずいぶん直球な名前だな、と思っていました。

 

月刊「ステレオ」(音楽之友社)   
   1963年創刊の「ステレオ」誌

LPレコード以前に、SPレコードが音楽の記録再生に使われていましたが、これはすべてモノラル録音でした。LPレコードでようやくステレオ録音が実用的になり、差別化のためにステレオがキーワードになりました。昔は、タクシーに冷房車、映画館に総天然色、洗濯機に全自動と書いてあると、人目をひいたのです。今で言えば、ハイレゾステッカーみたいなものですね。

 

ハイレゾマーク   
   オーディオメーカーのカタログにある
   ハイレゾのマーク

昭和時代の話はよくわからないんですけど……モノラルに対するステレオだったのですね。ブランド品のロゴみたいなものですね。よくわからないデザインでも有名ブランドのロゴが付いていれば、みんなも納得みたいな!

 

 

 

 

 

 


メンバー紹介

「オーディオなぜなに事典」の登場メンバーをご紹介します。

 

 

先生:ゴン川野

 

 

新宿西口地下広場フォークゲリラのことはTVニュースでしか見ていなかったが、大阪万博、サンヨー館の人間洗濯機のビキニのお姉さんのことはよく覚えている。高度成長期、バブル崩壊を経て、今もなおオーディオにこだわり続けるメカ好きライター。SONY「スカイセンサー5500」でオーディオに目覚め、Apogee『Duetta Signature』というオールリボン型の平面スピーカーをこよなく愛する。ちなみにヘッドホンも平面駆動好き。最近、Sonoma「Model One」を導入した。夢は二重防音扉のリスニングルームを持つこと。

 

 

 

生徒:ろみー

 

 

そろそろとんこつラーメンがしんどいお年頃の九州娘。クラシック大好き!で生きてきたが、最近はなぜかアニソンに傾倒。りっぱなヲタクに育ちつつある。オーディオの世界はさっぱりだったが、最近は「俄然興味がわいてきた!」とかなんとかつぶやきながら、あくせく勉強している。夢はギリシャでオリーブ農園を持つこと。

 

 

 

生徒:たかゆき

 

 

オンラインショップ担当。もうすぐ40歳。夏が近づくとバリの民族音楽を聴きたくなる。いい音楽をできるだけいい音で聴くことは人生を豊かにするので、ひとりでも多くの人に音楽やオーディオの魅力を伝えてゆきたい!しかしながら、この世界は答えのない深い迷いの森のよう。及ばずながらそんな世界の水先案内人となるべく、目下勉強中。…なんて言いつつ、いつになったら一人前になるのやら。


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