第8回:吸音材によって音はどう変わる? 実践編

前回気になった「吸音材種類で、音はどう変化するのか」という疑問に答えるため、今回は「Ishida model」を使って、吸音材でどう音色が変わるのかを徹底試聴しました! 使ったのは、下記の4種類の吸音材です。ミクロンウールはもともと、このスピーカーに使われている吸音材です。

 

1. ミクロンウール(超微細ガラス繊維)
2. ニードルフェルト(フェルト吸音材)
3. シンサレート(3M社の断熱繊維)
4. 生成り真綿(シルク吸音材)

 

試聴に使ったのは、8cmフルレンジスピーカーを採用した「Ishida model」。

これらの「吸音材」はコイズミ無線で買ってきたんですよ〜。ホントにそんなに種類あるのか!? とビクビクしながらお店の人に聞いたのですが、いろいろな種類のものが並んでいました! 素材も見た目も違うわけですから、当然音に影響してくるのは予想できますが……。もしかしたら、接続するアンプの種類によっても、吸音材との相性があるのかもしれませんね。

東京・秋葉原の電気街にたつコイズミ無線。自作オーディオ専門の老舗だ。

その可能性も考慮して、リファレンスのパワーアンプに加えて真空管プリメインアンプ「TU-8200でも試聴しました。

試聴に使ったエレキット「TU-8200」。コンデンサーと抵抗を交換済み。真空管も写真とは違うJJ「6L6GC」を使用。

実際の試聴の手順はどのようにしたのですか?

まず、標準の状態の「Ishida model」を聴いてから、底板を外して真ん中に入っている吸音材を取り出して、同量の吸音材を替わりに入れて試聴しています。
その後で吸音材を変えて試聴しました。真空管アンプトランジスタアンプの順番で聴いています。試聴したのはすべてハイレゾ音源で、Yuji Ohno & Lupintic Five with Friends「BUONO!! BUONO!!/THEME FROM LUPIN III 2015〜ITALIAN BLUE ver」(48kHz/24bit)、森恵「Re:Make1、Grace of the Guitar、COVERS Grace of The Guitar+/時には昔の話を」(48kHz/24bit)、手嶌葵「I Love Cinemas -Premium Edition-/Calling You」(96kHz/24bit)です。音源はMac miniに保存してUSB/DACに接続しています。

 

「Ishida model」は底板がネジ止めされており、カンタンに内部にアクセスできる。

 

取り出した吸音材と同量になるように、試聴用の吸音材をカット。

私はオリジナルの吸音材でしか聴いたことがありませんが、もう、これで大満足な音でした。

それでは真空管アンプを使って、もともと入っているミクロンウールの音を聴きます。低域の量感があって、高域はクリアで透明感があります。ボーカルは生々しく、さすがフルレンジと思わせる音像定位の良さが光ります。

今回紹介するのはこちら! ミクロンウール! 見てください、この柔らかさ。この手触り。毛布みたいでしょ、奥さん、いますぐお電話ですよ!

なんですか、その某通販のCMみたいな言い回し。しかも、どこに電話するんですか!? でも、この素材は吸音材の定番で、スピーカー以外にも室内防音用など幅広い用途に適しているので、なじみ深い素材だと思います。

 

スピーカーは、デスクトップに置き台を使ってセットした。

次は……ニードルフェルト? うわっ、なんですか、この素材。硬いし、見た目もあんまりキレイじゃないし。

言いたい放題ですね。これは見ての通り、いろいろな素材を寄せ集めたもので、自作スピーカーをする人にはおなじみですよ。カーペット用の下地材なんかにも使用されています。見たことないですか?

実は、あります。自作しない人でも、これは知ってる人は多そうですね。

ニードルフェルトに交換してみると、先ほどより穏やかな音で音量が下がったように感じました。音色はウォームで、ボーカルはなめらかで好印象です。音像定位はミクロンウールのほうが良かったですね。

ハイコスパでチクチクしないため、扱いやすい吸音材。

では、どんどん行ってみましょう。次は……シンサレート? 知らない。見たことない。聞いたことない。

これはハイテク素材なんですよ。ウインドブレーカーなどにも使われる素材で薄くても効果抜群なので、ミクロンウールと同量を入れると吸音効果は増えるはずです。ニードルフェルトと比較して、元気のいい音で、音の輪郭がハッキリしました。高域は明るく、低域は量感が抑えられてタイトに聞こえます。解像度が上がって、ギターの指板を指が滑るキュッという音まで再生されました。

 

薄くても効果の高いハイテク素材、チクチクしない。

シンサレート……。ふんっ、やるな、憶えておこう。

なんで急に上から目線なんですか!

最後は真綿ですね。

高級品なので、他の吸音材に比べて量が若干少なめになりましたが、クセのない音です。低域は量感があり、高域は輝くような明るさがあります。ヌケのいい音でメリハリも出ました。

 

カイコの繭をほぐして作ったという、シルクの吸音材。

やはり素材の違いが音に出ましたね! こうなると吸音材による音の変化も気になります。

それではよりシビアに音の違いをチェックするため、真空管アンプから、パッシブアッテネータ(ボリューム)+パワーアンプの組み合わせ変更して試聴を続けましょう。まず、吸音材の量を減らしてみましょう。

 

エンクロージュアの真ん中に入っていたミクロンウールを抜きました。音量が少し大きくなりますが、音像定位が少し甘くなって、音が若干、混濁します。演奏全体のノリはいい感じで、高域のヌケは良くなります。ボーカルの音像はやや大きくなります。伴奏のギターの音が細くなり、ボーカルが目立ってきました。

 

ニードルフェルトの量を半分にしてみます。これはいいですね。先ほどよりも音像定位が向上して、低域の量感も増えました。細かい音は吸音材多めのほうが出ていました。

 

シンサレートの量を2/3にしました。輪郭のクッキリした音になって、低域はややタイトに、高域はおとなしい。ボーカルの音像定位は今までで1番いいですね。解像度が高く、粒立ちのいい音になりました。

 

真綿は最初から量が少ないので、そのままの状態でアンプだけ交換しました。ウッドベースの鳴りが本物っぽく、サックスの音色もいい。高域はハイスピードでエッジが効いています。ボーカルはクリアで輪郭がハッキリ、音色と音場感は今までベストですね。

それぞれの吸音材によって適量が違うみたいですね。吸音材種類では、どちらの影響が大きいのでしょうか?

種類よりも量の影響が大きいですね。どの吸音材も適量にすると音質改善効果が発揮され、種類で比較してダメな吸音材というのはありませんでした。今回のシステムでは、真空管アンプにはニードルフェルトシンサレートトランジスタアンプには真綿シンサレートが良かったです。

高価な吸音材がいいとは限らないのかー! ちょっと意外でした。適量は試聴しながら決めるのがいいのでしょうか?

そうですね、私ならギュウギュウに詰めてから少しずつ減らしていって適量を決めます。吸音材は量より質ではなく、質より量が大切なことを実感しました。昔は吸音材と言えばグラスウールしかなくて、軍手で触ってもチクチクして、風呂で擦るとさらに取れなくなるという罠! という訳で、グラスウールだけはオススメできません。

グラスウール……。ふふっ、触るとチクっと痛むなんて。まるでバラか私のようじゃないか!

あの……オススメできないって言ってるんですけど?

 

 

 

 

 

 


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