第14回:ヘッドフォンの種類が多すぎて、わからない!

今回から、秋の風物詩であるヘッドフォン祭に登場した新製品を中心に取り上げながら、ヘッドフォンイヤフォンについて2回に渡って解説していきます。生徒役は最近、ヘッドフォンに興味津々のろみーさんです。

11月初旬と言えば、神楽坂「まち飛びフェスタ」や「神保町ブックフェスティバル」で大忙し! 中でもイチオシは神田カレーグランプリですよね〜。有名カレー屋さんが20店舗も一堂に会して、雌雄を決するんですよ!

私はマンダラのカシミールカレー推し……じゃなくて、ヘッドフォン祭は中野サンプラザで11月3日・4日の2日間で100社以上が展示して、のべ1万人もの入場者が訪れる人気のイベントなんですよ〜。

100社以上もヘッドフォンを作っているメーカーがあるんですか! 驚きです。しかもお値段もいろいろですよね。高級なヘッドフォンは10万円以上するんですか?

前回、展示されたSENNHEISER(ゼンハイザー)『HE 1』は600万円、HIFIMAN(ハイファイマン)『SHANGRI-LA』は594万円と、この2モデルは桁違いでした。

 

SENNHEISER『HE 1』の大理石製ヘッドフォンアンプは、電源を入れるとヘッドフォン・ケースのふたが開き、真空管がせり上がってくるのだ。

 

HIFIMAN『SHANGRI-LA』の平面駆動で静電型ヘッドフォン。大面積の振動板を採用したオープン型である。

 

直熱三極管の傑作300Bをプッシュプルで使った専用ヘッドフォンアンプ。発熱量が多く、冬は暖房器具にも使える!?

ちょっ、それ高級外車が買えるお値段ですよ! どうしてそんなに高いんですか? てか、一番高い部品は何ですか?

どちらもハイエンドモデルですからね。メーカーの威信を掛けて、コストを気にせず音質を追求した結果の価格ですね。高い部品はもちろん使っていると思いますが、目に見えないコストもかかっていますよ。例えば、試作機を100台以上作ったとか。研究開発費、人件費、それで受注生産ですから数が出ない。すると、1台にコストが重くのしかかるので、コスパが最悪になります。量産効果の逆パターンですね。

ほほー。今回、ハイエンドはヨコに置いといて、もう少し一般的なヘッドフォンのお話しをお願いしますね。まず、ヘッドフォンにはどんな形式があるのでしょうか?

構造的に、密閉型セミオープン型オープン型という順番で開放的になりますが、遮音性が悪くなります。モバイル用は密閉型、自宅で楽しむならオープン型が向いています。低音再生で有利なのは密閉型、情報量とレスポンスはオープン型が有利です。

私が気になるのは、アーティストが必ずと言っていいほどレコーディングのときにしている、ソニーのヘッドフォンです。あの赤い横ラインが入っているやつ!

えーと、SONY「MDR-CD900ST」のことですね。1989年に登場したモニターヘッドフォンの代名詞、イヤーパッドが浅くて、耳に厳しく、音が直撃します。輪郭のハッキリした音で、スピード感があり、低域はタイト。周囲の音を遮断するために密閉型を採用しています。

モニターヘッドフォンって何ですか。やっぱり普通のタイプよりも高価なんでしょうか? TVの音楽番組では必ずこれで聴いてますよね。

この「MDR-CD900ST」は15,000円(税別)です。モニター用は音楽自体を楽しむのではなく、演奏や録音された音楽をチェックするためのモデルです。音に色付けなく、アラがあればそのまま再現する必要があります。無色透明の原音再生が理想で、価格は安価なものから高価なものまで色々あります。ただし、ハイエンドモデルは業務用モニターではなく、コンシューマー用モデルがほとんどです。

へぇー。モニターは意外とお手頃価格からあるんですね。でも、音楽を楽しむのが目的なので、私はコンシューマー用から選びます!

オッ、ろみーさん、買う気満々ですね。密閉オープンは構造上の分類ですが、音を出すためのドライバーの形式や振動板の形状からも分けられますね。大きく分けると、ダイナミック型ドライバー平面駆動の静電型ドライバーになります。平面駆動のダイナミック型もあります。

スピーカードーム型みたいなのと、平面型があるということですね。ダイナミック型静電型はどう違うのでしょうか?

まず、ダイナミック型ですが、スピーカーと全く同じ原理で動いています。柔らかいエッジで支えられた円錐形または半球型の振動板に取り付けたボイスコイルに電流を流すことで動かしています。詳しくは第3回でおさらいしてください。

 

beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)のダイナミック型ドライバーの分解図。振動板は半透明だが、ほぼスピーカーユニットと同じ構成だ。

 

ULTRASONE(ウルトラゾーン)「Edition15」に使われているゴールドとチタンのハイブリッドな振動板。

 

フランスFOCAL(フォーカル)のアルミ・チタン製振動板のドライバー。手前はベリリウム製の振動板のドライバー。

 

FOCALのヘッドフォンに使われているボイスコイル。指先に乗せられるサイズだ。

なるほど、メーカーがこだわっている部分は振動板ドライバーなのですね。スピーカーと同じ構造なら、イメージが湧きやすいですね。

静電型は、これとはまったく違う方式で振動板固定電極の間に直流電圧をかけて、これに音声信号を加えることで駆動します。平面振動板専用の方式で歪みが少ないのがメリットですが、振幅がとれないため量感のある低音や、大音量を出すのが難しい方式になります。あと専用アンプも必要ですね。

 

スタックスの静電型ヘッドフォン。同社ではイヤースピーカーと呼称している。左に見えるのが専用ヘッドフォンアンプ。

 

Mrspeakers(ミスタースピーカーズ)が参考出品した静電型ヘッドフォン。スタックスの規格と互換性があり、スタックス製のアンプに接続可能。

 

今回初登場したABYSS(アビス)の新製品「Diana」。女性をイメージしたデザインで、カラーはコーヒーブラウン。ダイナミック型の平面駆動ヘッドフォンである。

 

お洒落な布製ポーチ付きで、ろみーさんにオススメ!

うーん、静電型は個性派なんですね。スピーカーにも平面型がありますが、ヘッドフォン平面型には、どんなメリットがあるんですか?

平面型は、振動板全体を駆動するために、振動板の位置によって動き方がまちまちになる分割振動と呼ばれる現象がおこりにくく、歪みが少なく、解像度が高いのが特徴ですね。主にハイエンドモデルに使われてきましたが、最近では平面駆動型のみのメーカーMrspeakersが登場、日本製ではfinal(ファイナル)が平面駆動型の新製品をヘッドフォン祭でお披露目しました。

 

finalのダイナミック型の平面駆動ヘッドフォン「D-8000」388,000円(税込)。繊細な音と豪快な低音を両立した新製品。

確か、ゴンさんの使っているスピーカー平面駆動型ですよね。もしや、ヘッドフォン平面駆動型ですか!?

よくぞ、聞いてくれました。SONOMA(ソノマ)の「Model One」です。平面駆動静電型で専用のDAC内蔵ヘッドフォンアンプで鳴らすタイプです。色付けのない音で、オーケストラを遙か高みから俯瞰するように描きます。清廉潔白な乙女のようなヘッドフォンで、第四次聖杯戦争のサーヴァントで言えばセイバー、アルトリア・ペンドラゴンですね。

 

SONOMA「Model One」の振動板は薄さ15μmしかない。6角形から3角形までで構成されたグリッド内の振動板が独立して動き、マルチWayスピーカーのような役割を果たす。

わっ、真名きた! 生真面目で空気を読めないクラス委員長的性格で、完璧な王を目指すあまり、部下の人心を把握できず、王は人の心が分からないと言わしめた……じゃなくてー! 一般的なダイナミック型の話に戻りますよっ。ヘッドフォン端子にはいろいろな形があるのはなぜなんですか? 標準とかステレオミニとか。

そ、それは面倒な話題なので、別の機会に……え、ダメなの? 今すぐ知りたい? ……もともとのヘッドフォン端子は6.3mm標準プラグです。モバイル用機器のために小型化された3.5mmステレオミニが登場しました。業務用でロック機構付きのXLR端子もあります。こちらは端子の数が3pin4pinがあります。最近は4.4mm 5pinも登場しました。

なんで、たくさん端子の種類があるんですか? 覚えるの大変だから、統一してくれればいいのに!

接続方式の違いから必要な端子の数が違うからです。その内容については省略しますが、バランス接続アンバランス接続があり、下記の端子が対応しています。

 

  • 2.5mm 4pin バランス接続
  • 3.5mm 4pin バランス接続
  • 3.5mm×2 バランス接続
  • 4.4mm 5pin バランス接続
  • 6.3mm×2 バランス接続
  • XLR 4pin バランス接続
  • XLR 3pin×2 バランス接続

 

  • 3.5mm 3pin アンバランス接続
  • 3.5mm 4pin アンバランス+リモコン接続(主にスマホ用)
  • 6.3mm 3pin アンバランス接続

ははぁ〜、聞かなきゃよかったと思うくらいバランス接続がたくさんありますが、一般的なんですか?

バランス接続は音質重視の接続方法で、最近ヘッドフォン界でブームになっていますが、規格が統一されず、さまざまな接続方法があります。もっとも新しいのが4.4mm 5pinで、採用するメーカーが増えればオーディオ界の新標準端子になるかもしれませんね。バランス接続は、ヘッドフォンアンプの両方が対応している必要があり、なかなか面倒です。一般的に、据え置き型ヘッドフォンアンプ標準プラグ、モバイル機器はステレオミニだったのですが、最近は据え置き型ヘッドフォンアンプがステレオミニを採用することもありますね。高級機ならバランス対応になります。

え〜、それだとヘッドフォンヘッドフォンアンプデジタル・ミュージック・プレーヤー(DMP)の組み合わせが限られちゃいますね。

中級機以上のヘッドフォンならケーブル交換、今風に言えばリケーブルに対応したモデルが多いので、ケーブルごと端子を交換できます。ケーブル専門メーカーからさまざまな端子のケーブルが発売されていますよ。また、標準ステレオミニアダプターでも変換できます。

リケーブルって、そのためにあったんですか。最初から2種類のケーブルが付属しているヘッドフォンもありますよね!

そうですね、3mの標準プラグに1.2mのステレオミニとか。また高級機では、音にこだわったバランスケーブルが付属していることもありますね。

端子の種類だけで、ここまで深いとは! しかも100社以上もメーカーもあるのなら、私にピッタリの1台が必ずありますよね。音が良くて、お洒落で、軽くて、収納性が良くて、ケーブル交換対応で、ハイコスパなモデルが!

そういうモデルを発見したら、私にも教えて下さいね。速攻で購入しますから。次回はイヤフォンについて考察しましょう〜。

 

 

 

 

 

 


コメント
コメントする








   

category01.png

▼-ただいま準備中-
category02-2.png

▼-ただいま準備中-
category03.png

fb.pngtw.pnginsta.pngyt2.pngRSS2.png

OV_top.jpg

EC_top.jpg

02.png

03.png

Stereoblog.png

musimegane.png search this site.

profile.png profile

音楽之友社が運営するwebサイト「Ontomo village」のブログ。音楽/オーディオ雑誌発のこだわりの限定品や、情報を発信します。

iphone.png mobile

qrcode

categoryies.png categories

selected entries.png selected entries

archives.png archives

carender.png calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< January 2018 >>